オダギリジョー(47)が21日、東京・新宿バルト9で行われた映画「月」(石井裕也監督)公開記念舞台あいさつで、満席の客席に向かって「こんなに、たくさんのお客さんが入ったのを久しぶりに見た気がして。この数を見ていると…ジャニーズの会見を思い出しちゃって。今日は指名NGなしで」とジョークを飛ばし、会場全体を笑わせた。

「月」は、相模原市で実際に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにした作家・辺見庸氏(79)氏の小説の映画化作品。オダギリは、主演の宮沢りえ(50)が演じた深い森の奥にある重度障害者施設で新しく働くことになった“書けなくなった”元有名作家の堂島洋子を「師匠」と呼ぶ夫の昌平を演じた。

オダギリは、映画について「世の中には、いろいろなタイプの映画がある。軽く見られる映画もあるし、重いものを受け取って買える映画も必要」と評した。そして「世に問う…1回、止まって考えようよ、という映画の方に僕は興味があるし、参加したいと思う。何より、石井さんが向き合おうというものがあるなら、そこに乗らないことはないな、と参加しました」と出演を決めた経緯を語った。

完成した映画を見た感想を聞かれると「見た後、誰かと、この作品について話し合いたい気持ちにならなくて。試写の後に『監督が、この後、来るから』と言われたけど…監督ともしゃべれないような感覚。車で1人で帰るので良かったと思って」と試写を見た後、誰とも語り合いたいと思えず、試写室から1人で帰ったと明かした。そして「それだけ、感情が先に立つというか、言語化するのが自分に取って相当、難しい。受け止めるまでに時間がかかった印象」とまで語った。

舞台あいさつには、洋子の施設の同僚職員で絵の好きな青年さとくんを演じた磯村勇斗(31)、作家を目指す陽子を演じた二階堂ふみ(29)も登壇した。

◆「月」堂島洋子(宮沢りえ)は、夫の昌平(オダギリジョー)とふたりで、つつましい暮らしを営んでいる中、重度障害者施設で働き始め、光の届かない部屋で、ベッドに横たわったまま動かない、入所者の“きーちゃん”と出会う。生年月日が一緒で、どこか他人に思えず親身になっていくが、職場は決して楽園ではなく、洋子は他の職員による入所者への心ない扱いや暴力を目の当たりにする。そんな世の理不尽に誰よりも憤っているのは、さとくん(磯村勇斗)だ。彼の中で増幅する正義感や使命感が、やがて怒りを伴う形で徐々に頭をもたげ“その日”が、ついにやってくる。