歌手湯原昌幸(78)に11月5日発売の新曲「どうかしてるね」についてインタビューした。長年連れ添った女性から三くだり半を突きつけられる男の心情を歌っている。作詞が「残酷な天使のテーゼ」の及川眠子氏で、作曲が『天城越え』の弦哲也氏という斬新な組み合わせだ。

湯原といえば、歌手でタレントの荒木由美子(65)とのおしどり夫婦として知られる。1983年(昭58)にポスト山口百恵のアイドルだった23歳の荒木と結婚して、荒木は引退した。

当時、湯原は36歳。当時は「13歳も年上の男が、トップアイドルをかっさらった」と大きな話題になった。荒木は76年の「第1回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞。77年に阿木燿子作詞、宇崎竜童作曲の「渚でクロス」で歌手デビュー。79年にはテレビ朝日系「燃えろアタック」で女優としても活躍していただけに、寿引退に涙をぬぐったファンも多かった。湯原は「当時は腐った卵を投げつけられました」と笑って振り返るが、それから42年の長きにわたって、荒木と幸せな家庭生活を送ってきた。

長年連れ添った女性に三くだり半を突きつけられる「どうかしてるね」の内容に「これは荒木由美子ファンの長年の思いが詰まった曲ですね」と問いかけると、湯原は「彼女は『すてきな曲ね』って言ってくれたよ」と自信を見せた。そして夫婦円満のコツについて「感性が近いこと」を挙げた。13歳差で結婚したが、ほぼ同等の感覚。「お互いの相性と努力、少なくとも僕と由美子はお互いにこの穏やかな生活をキープする努力をしている」と話してくれた。

問題は、湯原の話にフムフムとうなずきながら聞いていたこちらだ。64歳、年金生活突入まで1年を切りながら、孤独死におびえながら独身生活を余儀なくされる身になんの役に立つのだろうか。浮いた話もコロナ禍以降は、年齢的な問題もあって全くなし。「馬の耳に念仏」「豚に真珠」ということわざが浮かんだ。湯原に付いて来た事務所のマネジャーも、結婚を考えていたという恋人と別れたばかりのアラフォー男子で、湯原のありがたい話を実践する機会はない。

と、そんな冗談をとばしながら、話を聞いていたのだが「由美子との生活が、あと10年か20年しか続かないのこと思うと悲しくなる」と言い出したのには驚かされた。78歳と65歳の夫婦は、いつもラブラブなのだ。結婚生活を送ったことのない記者は、そのくらいの夫婦はお墓のことや死んだ後のことを話していると思っていたが、全然違った。

荒木のインスタグラムには、よく夫婦そろって知人たちとパーティーや食事を楽しむ姿が投稿されている。それを「65歳美魔女が……」と記事を書くことが多い。気がつけば友人はアラ還の独身男ばかりの記者にとっては、うらやましいばかりだ。【小谷野俊哉】