11月24日に実写日本映画興行収入(興収)記録を22年ぶりに更新し、21日には181億円を突破した「国宝」が、作品賞、李相日監督(51)の監督賞、吉沢亮(31)の主演男優賞はじめ、史上最多の6冠に輝いた。李監督は、22年の前作「流浪の月」で受賞して以来、2度目の監督賞。11月22日に東京・築地の日刊スポーツ本社で開催した、選考会での議論を公開する。(選考委員は敬称略)
<監督賞ノミネート>
李相日(51=「国宝」)
石川慶(48=「遠い山なみの光」)
大友啓史(59=「宝島」)
関根光才(49=「フロントライン」)
山田洋次(94=「TOKYOタクシー」)
笠井信輔(フリーアナウンサー) 山田洋次監督は、22年のフランス映画「パリタクシー」をリメイクし、見事に日本に置き換えた。その中で、ハートウォーミングなだけの物語じゃなくて、それは、やりすぎでしょう、と言いたくなるような残酷な展開もあった。ドライバーとお客さんの話だけではなくて過去、東京で何があったかも描き、現代にもつなげ、今の東京の風景を残さなきゃとか、さらなるチャンレンジをしている。悲しい結末ながら、幸せを感じた。90歳を超えて、これをやるのはすさまじい。「フロントライン」は素晴らしい話だったけれど、新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船を描きながら、マスクしないで会話しているのがダメでした。私は当時、入院していてマスクはしていたから、信じられなかった。マスクは最後にネタとして出していたが、気になった。本当に、もったいない。
服部宣之(テレビ朝日ストーリー制作部長) 「TOKYOタクシー」の、タクシー運転手の運転シーンは全編、バーチャル。90代の山田さんが、これならできると撮ったのは、すごいことだと思う。
伊藤さとり(映画パーソナリティー) 撮り続けるのは、すごいけれど、山田監督に賞をお渡しするのは、もういいのではないだろうか? (次世代の監督に)席を譲った方が良い。監督賞は、その人じゃなきゃ、という画を撮った監督にお渡ししたい。石川さんは、今の若者が分かりにくいところや、1度見ただけでは分からないような編集にも挑んでいる。
寺脇研(映画評論家) 李監督は、前の2本はダメだと思った。今回の「国宝」は、原作をそのまま使うと10時間にもなるところを、撮りたいところに焦点を当て、他をバッサリ切っている。映さないで見せる芸ができる。それだけ円熟しているということで、やっぱり、そこは一皮むけたと思いました。
<投票1回目>
◎李相日 10
石川慶 3
関根光才 1
山田洋次 1
※過半数の8票を得た作品、俳優が受賞



