NHKの井上樹彦(たつひこ)新会長(68)が1月25日に就任した。外部からでない生え抜き局員では18年ぶりに誕生した第25代会長。28日には就任会見が行われ、意気込みを語った。

会見、そして終了後には囲み取材にも応じ、「インタビューなども受けますから、いつでも」と記者団に語り会場をあとにした。早大卒業後の80年に入局。長崎放送局から始まり、主に政治記者としてキャリアを積んだ。出身は福岡県久留米市。趣味はギターで、高校時代の仲間と吉田拓郎の楽曲などを今でも演奏することがあるという。現在放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」の主題歌も担当するハンバート ハンバートは古くからのファンであることも明かした。

前任のNHK稲葉延雄会長(75)は3年間の任期の中で、経費削減や組織改革、新インターネットサービス「NHK ONE」の立ち上げなどに取り組んだ。退任時には「大きな成果を得ることができた。充実した気持ちでいる。歴代の取り組みとは違うユニークなものになったのではないかと自負しております」と振り返っていた。

井上新会長は、受信料徴収の強化と変化の早まるインターネット環境への対応の2点を課題に挙げた。「コンテンツの力こそがNHKの原点。質の高いコンテンツを安定して生み出せるかどうかが信頼に直結する。従来以上に攻めの姿勢で取り組みたい」と力を込めた。新副会長にはメディア総局長も引き続き務める山名啓雄氏(59)が就任した。井上新会長は「(受信料とネット対応の)2つの課題に正面から取り組み、確実に結果を出せるパートナーを選びたいと考えておりました」と説明。「新しいチームNHKの体制が整いました」と自信を込めた。

全社員へメッセージ発信も行ったといい「今は国内だけでなく世界的なコンテンツと競い合わなければいけない。NHKがなくてはならない存在であり続けるためには、柔軟かつ俊敏に動ける組織に進化していかなければならない。総合力を最大限に発揮するために組織の力を変えて、番組、デジタル、技術、営業、事業など、あらゆる領域が連携し、横断的に動くことで大きな価値を生み出すことができると思っています」と話した。

井上新会長は会見で自身の人柄を聞かれた際に、小学生の頃から記者になることを志していたことを明かした。NHKで政治記者、関連会社社長、副会長などを歴任してきた、局を知り尽くす生え抜き会長がどのような手腕でけん引していくのか、今後も注目していきたい。【松尾幸之介】