5月12日にフランスで開幕する、世界3大映画祭の1つ、第79回カンヌ映画祭ラインアップ発表会見が9日、フランスで開かれた。21年に設立された世界史、民族、風土、生活習慣、信仰など現代社会を取り巻くテーマを描いた作品を選ぶカンヌプレミア部門には、本木雅弘(60)が主演し、黒沢清監督(70)が時代劇に初挑戦した「黒牢城」(6月19日公開)が選出された。本木は「世界から黒沢監督へ、高い信頼度のたまものだと思います。個人的には、還暦にして初のカンヌ、好奇心を持ってのぞき、映画スタッフと日本の皆さんにお土産話を持ち帰ります。ステレオタイプの侍ムービーではなく、新たな人間ドラマとしての魅力が伝わることを期待しております」と初のカンヌ行きに期待した。

「黒牢城」は、暴虐な織田信長に反発し籠城作戦を決行した荒木村重が、織田軍に囲まれ孤立無援の中、血気盛んな家臣たちを抑えながら妻千代保を心の支えに人々を守ろうと苦心していた中、城内で少年が殺される事件が発生。その後も怪事件が次々と起こる。容疑者は密室と化した城内にいる家臣や身内の誰かで、誰もが疑心暗鬼になっていく中、村重は地下牢に幽閉した信長の使者の、危険な天才軍師・黒田官兵衛から助言を与えられ、共に謎の解決に挑む戦国系心理ミステリー。荒木村重を本木、妻千代保を吉高由里子(37)官兵衛を菅田将暉(33)が演じる。

吉高、菅田、08年の「トウキョウソナタ」で、ある視点部門審査員賞、15年の「岸辺の旅」で同部門監督賞をそれぞれ受賞するなど公式部門への出品は6度目となる黒沢監督がコメントを発表した。

菅田将暉 まずは、本当にうれしいです。黒沢監督とは、海外の映画祭で初めてお会いしました。当時は別の作品で参加していましたが、そこからご縁がつながり、今回二本目として監督の作品に関わらせていただくことになりました。海外でも高く評価されている監督なので、いつか自分が関わる作品でカンヌのような舞台に立てたら、という思いはどこかにありました。特別に狙っていたわけではありませんが、それがこうして形になったことを、素直にうれしく思います。『黒牢城』は、時代劇でありながら会話劇でもある、日本でもあまり例のない作品です。この作品を海外の方々に届けられることには、確かな意味があると感じています。字幕での上映にはなりますが、むしろ言葉が整理されることで、よりダイレクトに伝わる部分もあるのではないかと思います。映画祭での観客の反応は、いつもシンプルで率直です。試写会とは違う、その場の空気の中で、この作品がどう受け取られるのかを見届けたいです。この作品は、本来もっと自由に、思いきり笑って楽しんでいただける映画だと思っています。だからこそ、その反応を現地で感じられることを、強く楽しみにしています。今回このような機会をいただけたことに感謝するとともに、この作品がしっかりと届くことを願っています。

吉高由里子 このたび本作が出品されることとなり、大変光栄に思っております。作品に込められている想いや空気が、国や言葉を越えて多様な文化や価値観の中で、どのように受け取っていただけるのか、とても楽しみにしています。

黒沢清監督 主君織田信長に反旗をひるがえした戦国武将荒木村重の物語が、国境も時間も超えたカンヌで上映されると知り、たいへん驚いています。幸運にも海外の人たちに、これは現代でも十分あり得ることだとふに落ちていただけたなら、どんなにうれしいことでしょうか。