9日に86歳で亡くなった女優中村玉緒(なかむら・たまお)さん(本名奥村玉緒=おくむら・たまお)の通夜が16日、都内斎場で執り行われた。喪主は長女奥村眞粧美(おくむら・まさみ)さん。葬儀は17日に執り行われる。
玉緒さんは、女優としては時代劇の娘役スターとして活躍、90年以降は個性豊かな「天然キャラ」でお茶の間に人気だった。
上方歌舞伎の名門成駒屋の2代目中村鴈治郎の長女として生まれ、兄は後の坂田藤十郎さんという歌舞伎の世界で育った。
若いころは美貌と演技力で、「炎上」「銭形平次捕物控」シリーズなど多くの作品に出演した。62年に周囲の猛反対を押し切り、俳優勝新太郎さんと結婚。長女真粧美さんと長男で俳優の鴈龍太郎さん(19年に55歳で死去)をもうけた。
勝さんが設立した「勝プロダクション」が経営悪化で81年に倒産、勝さんの2度のコカイン所持での逮捕など苦難にも見舞われた。それでも、世間を騒がせた夫が亡くなるまで35年間、献身的に支え続けた。
活躍の場は映画、ドラマだけにとどまらなかった。94年にTBS「明石家多国籍軍」でバラエティーに初挑戦。明石家さんまとのかけあいが人気となり、さんまが司会を務めるバラエティー番組に頻繁に出演。食品メーカー「マロニー」のCMなどでさらに知名度が広がった。私生活でもたばこやパチンコを楽しむなど、飾らない性格で親しまれた。
23年1月に出席した、ヒロインを演じた映画「大菩薩峠」(60年、三隅研次監督)4K上映記念のトークイベントが最後の表舞台となった。同2月、仕事先の名古屋で転倒し、背骨の圧迫骨折と診断。その後、都内の介護施設で療養生活を送っていた。施設でも、知人が訪ねると、多弁で楽しい会話をしていたという。
最後の出演作品は介護施設に入る前年に撮影し、25年に公開された「THE RIGHT MAN 正義の男」(宅間孝行監督)だった。



