芸能担当になるまで、ミュージカル鑑賞の経験はないに等しかった。今は仕事柄、鑑賞の機会は以前より格段に増えたが、舞台やミュージカルのゲネプロ取材会に行けば、「(映像作品より)敷居が高いと思われる事が多い」と出演者が悔しげに語る様子に後ろめたくなる。高貴なイメージにどこか気後れしてしまう。エンタメを取材する側として、払拭(ふっしょく)したい部分ではあった。

先日、堂本光一と井上芳雄(ともに47)がホスト役を務めるコンサート「New HISTORY COMING ARENA LIVE -The Imperial Theatre Symphony-」(開催中、東京ガーデンシアターなど全国4都市5会場)のゲネプロ取材会が行われた。またの名を「帝コン」(ミカドコン)。日本ミュージカル界初のアリーナツアーで、帝国劇場で上演された演目に登場する名曲の数々が披露される。

公演のゲネプロが始まると、勝手に抱いていた肩の荷が次第にほどけていった。帝劇の厳かな世界観の中、時折カジュアルなエッセンスが織り混ざっていく。あるシーンで、ステージ後方に立ったダンサーが手にしたのは「帝」型のペンライト。「帝」の文字を照らしながら踊る姿がかわいらしい。実際の公演では観客もペンライトを使用することができ、しかも14色にカラー変更可能。まるでアイドルのライブ会場かのような景色が広がるのだろう。

堂本がライブの見どころの1つに挙げたのが、出演者のルーツメドレー。“原点”ともいえる楽曲をそれぞれがチョイスしており、歌手の平原綾香(42)は「Jupiter」を歌った。力強い歌声は音源そのまま。ずっと聞いていたくなるような時間だった。

元乃木坂46の桜井玲香(32)は「命は美しい」を選曲。グループの楽曲の中でも激しいダンスナンバーなのだが、意外な人物がバックダンサーとして大奮闘。ソニン(43)の「カレーライスの女」でもシュールな光景が広がった。(ネタバレ防止のため詳細は伏せます)。

堂本と井上による漫談MCの効果もあり、楽しくなってきたところで帝劇作品の“本筋”へ。名作「エリザベート」と「Endless SHOCK」の楽曲群をそれぞれ15分間にまとめたダイジェストコーナーでは、堂本の「ミュージカルが好きな方、そうじゃない方も楽しんでいただいて」という言葉を反すうした。個人的には同コンサートは品格を保ちつつ、高いと思われがちな敷居やハードルを新参者の手前に寄せてくれたような印象の連続だった。

キャスト陣の多くは同公演を「新しい帝劇ができるまでをつないでいけるようなコンサート」と表現した。縁遠かったはずの帝劇。新劇場の完成を楽しみに待ってみたい。