King&Prince髙橋海人(27)の初個展「不思議なセロル展 created by 髙橋海人」(11日から、PARCO MUSEUM TOKYOなど全国6都市)の主役となるのが、髙橋が命を吹き込んだキャラクターであり、友達の「セロル」。涙をためた大きな目に、ふわふわとしたシルエット。24年3月、髙橋のインスタグラムで卵から誕生したことが報告された。お披露目されて以降、セロルは髙橋の仕事現場に同行したり、日常をともに過ごしたり。時にSNSのアンケート機能を使ってファンに意見を募ったりと、たくさんの人に見守られながらすくすく成長してきた。
愛情を受けて楽しげな日々を送っているように見えるのに、セロルの目からはいつも涙がこぼれている。“生みの親”の髙橋と言えば豊かなクリイティブの持ち主。何か意図を込めているはず。8月末にインタビューの機会に恵まれ、涙目の理由を髙橋に聞いてみると丁寧に解説してくれた。
セロルを最初に書いたのは、自身のアートにおけるアイコニックな部分を欲していた頃だったという。「たまたま思いつきで書いたんですけど」と明かすが、連鎖的にストーリーが広がっていく感覚を覚えた。
髙橋 「なんか今思うと『すごいなそれ』って自分でも思うんですけど、涙って人間が生まれた時に一番最初にする行動じゃないですか。赤ちゃんが泣いてそこから物語(人生)がいろいろ始まっていくよなって思うのと、人間が泣く時って、ただ悲しい時に泣く訳じゃない。うれしい時も楽しい時も笑いすぎた時とかも泣くし、いろんな感情の限界突破した時って涙って出てくるじゃないですか」
涙には意味がある。種類も異なる。それはきっと、セロルの涙もだ。
髙橋 「セロルが泣いてる理由みたいなのって、人間側からするとなんで泣いてるか分からないけど、でも人間のエゴで当てはめると辛い時とか一緒に泣いてくれるし、楽しい時とか一緒に楽しんで泣いてくれてるし、感情に寄り添ってくれる自分の分身みたいなものだったりするのかな?とか。いろんな想像力が膨らんでくるっていう意味でも、涙ってずっと泣いてるのは不思議だけど、すごい愛おしいものになったなって思います」
記者自身はアートや創造の分野に疎く、涙=悲しみ、寂しさばかりを連想しがちだった。髙橋の話を聞いていると、セロルが持つ奥行きや余白に心がくすぐられた。
髙橋 「あえてセロルに関しては『楽しいー!』っていう時に目をつぶるとか、今のところそういう表現はあんまりしてきてないんです。だから、ただかわいいだけじゃなくて、ちゃんと人間にとって癒しになってたり、支えになってたり、そういう養分がきっとあるんだろうなって思いますね」
個展の開催には自身の中でテーマもある。セロルを知ってもらいたいという思い、ファンに楽しんでもらいたい気持ちは「大前提」と語りつつ、「『アートが気になる』っていう扉を開く橋みたいな感じになれたらなと思っています」。髙橋自身、日常的にモノ作りに触れる環境で育った。母親からもらった牛乳パックを使った工作を楽しみ、DIYが得意な父親、絵を描くのが上手な姉がいる家庭だった。「次世代のちっちゃい子とかに(アートを)好きになるきっかけになってもらえたら最高だし、親御さんも一緒に楽しめるものになったらいいなとか思ったり。アートを見てきた人から『すごいめちゃくちゃポップでイカしてるの作ってんな』って言ってもらいたいなとか思いますね。とにかく、幅の広さを大前提で軸に置いています」。
記者的には食欲の秋は毎年恒例。芸術の秋は縁遠かった。髙橋の話を機に、アートという世界へ心の矢印が向き始めた気がしている。今回の個展はKing&Princeのファンだけではく、アート業界からも関心が寄せられている。涼やかな秋風に乗って、セロルの物語が広まりそうだ。【望月千草】



