日本最年長バンドの「ザ・ワイルドワンズ」が5日、東京・中野のなかのZEROホールで結成60周年記念コンサートツアーの東京公演を行った。この日は、1966年に「想い出の渚」でデビューをした記念日。
公演前、4人は取材に応じた。
ベースの島英二(79)は「この日を随分先だと思っていたがついにきました。飾ってある(15年4月に亡くなったリーダーの)加瀬邦彦の写真が随分若いんですよ」。
ドラムの植田芳暁(78)は「結成60周年の記念ツアーは(今年3月に始まり)来年も続きます。追加公演もある。今日は都内でやる大きな公演で目標でもあった。これまでとは内容を少し変えました」。
ギターの鳥塚しげき(79)は「あっという間の60年。4人で始めて、5人になって、2人が亡くなって、また4人になった。変遷をへての今日です。歌いきりたい」。
ギター加瀬友貴(44)は加瀬邦彦氏の次男で16年から加入した。「父が亡くなって11年。私は50周年の時から入って10年です。(60年続いている)還暦バンドはワイルドワンズしかない。歴史を重ねてきたバンドに参加できて光栄です。父には『やったぞー』というメッセージを届けたい。ワイルドワンズはまだまだ続くので、今日は通過点です」。
-今年3月に和歌山公演でスタートしたツアーは今日で10公演目。ここまでの手応えなどは
鳥塚は「どこへ行っても満員でありがたい。みんなが待っていてくれたんだなと思う。この年代のバンドで活動をしているのは僕たちだけ。だからお客さまの期待も大きい。1960年代はすごく楽しい時代だった。お客さまもそれを思い出したいんです。各地で好評でした。東京は凱旋(がいせん)公演みたいな感じ。自分たちの年齢を考えると、『大丈夫かな』と思う瞬間もあるが、ファンの喜ぶ顔を見ると年齢を忘れます」。
加瀬は「『まだやっていたのか』『やっていたなら(公演に)行くのに』『元気や笑顔をもらいました』と言われます。生前に父が『いくつになってもお楽しみはこれからだ』と言っていた。年を重ねるほど。ワイルドワンズでやる意味がある」。
植田は「われわれは年齢的には外に出なくなる世代。『(公演に)来て本当に良かった』と言われるのが一番うれしい。大の大人が『来て良かった』と喜んでくれると、僕らも『頑張ろう』と思える。目標は紅白歌合戦出場です。望みやハードルは高い方が良い。(年齢への)抵抗というよりは、どこまでやれるかという、おじさんのチャレンジです。自分たちは昭和・平成・令和と頑張ってきて、今はAIがあるけれど、自分たちは何でも手作り。ナマの音楽、ナマの音、ナマの空気感。あきらめてはダメ。引き算より足し算です。若い時のことは体に残っている。楽しくやれているか。義務感になったらおしまい。夢があったらできるんです」。
今年3月6日に発売したアルバム「想い出の渚の軌跡」に新曲「嗚呼、素晴らしき世界」を収録した。加瀬邦彦さんが作曲し、友貴が歌詞を付けた。ツアーでも披露している。
植田は「加瀬邦彦さんがインストルメンタルで作った曲に歌詞を付けました。天国の加瀬さんも、まさかこうなるとは思っていなかったはず。彼の世界観の曲です」。
66年に加山雄三(89)の命名で生まれた「ザ・ワイルドワンズ(自然児)」。現在も年間40~50回のライブを行い、オリジナルメンバー3人の平均年齢は78・6歳。来年には2人が80歳になり“傘寿バンド”になるが、待っているファンがいる限り音を楽しむ歩みを止めない。



