格安DVDで販売された俳優チャプリン(1977年死去)の映画9作品について、著作権の保護期間が続いているかどうか争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は8日、存続していると判断した。

 その上で、無断で格安DVDを制作していた会社側の上告を棄却。著作権を保有する海外法人の請求を認め、販売差し止めと約1000万円の損害賠償などを命じた1、2審判決が確定した。

 71年の新法施行前の旧著作権法では、著作者個人が実名で公表した作品は、死後38年間、著作権が保護されると規定。この規定が9作品にも適用されるかが争点だった。

 同じ会社の故黒沢明監督作品についても1、2審は同様の結論を出しているが、最高裁としては初めての判断となった。

 作品は19~52年公開の「モダン・タイムス」「独裁者」「殺人狂時代」など9作品。1、2審判決によると、2社は9作品を無断で複製。DVDは書店などで1枚500円で販売された。

 2社は「個人ではなく、映画会社などが著作者。団体名義で公表されると、保護期間は公表から33年。著作権は既に消滅した」と主張していた。

 1審東京地裁は「制作、監督、音楽などを担当したチャプリンが著作者」とした上で、少なくとも死後38年間は存続していると判断。2審知財高裁も「映画の全体的形成に寄与したチャプリンは著作者」とし、2社の控訴を棄却した。

 [2009年10月8日11時58分]ソーシャルブックマーク