女優米倉涼子(38)が再び松本清張原作ドラマに主演することが7日、分かった。テレビ東京系特別ドラマ「強き蟻(あり)」(今夏放送予定)で、遺産を狙って夫の寿命を緩やかに縮めようとたくらむ悪女を演じる。清張作品の主演はこれで5作目となる。

 悪女がすっかり板についてきた。米倉が演じるのは31歳年上の会社役員に後妻として嫁ぐ女性。ぜいたくな生活を送りながらも、生活に関わる金銭を家政婦に管理されていることを不服に思い、資産10億円を手に入れようと夫の寿命を縮める計画を立てる恐るべき女だ。したたかさと男を魅了する危うさを持っており、夫以外の男性とも関係を結んでいく。米倉は「男性にこびる雰囲気を意識しました。声をいつもより高めにしたり、早口で相手を言いくるめられるように努力しました」。

 今や清張作品の顔だ。テレビ朝日系ドラマ「黒革の手帖」を始め、過去4度の主演作でそれぞれ印象的な「悪女」を演じてきた。「強き蟻」については「さすが松本清張と思わせる展開で脚本を読んで面白い、演じて面白いということで、役者にとってこの上ない喜びでした」と充実感を味わった様子だ。演じるヒロインについては「手段を選ばず、のしあがろうとする一見悪い女性に見えますが、ここまで自分の欲望のために動くならと、応援したくなる。男性に強く向かっていくたくましさは見どころ」と話している。

 女優としてステップアップにつながった清張作品との出合いは「芝居の面白さをより感じることができました」。出演するたびに清張氏の墓参りを欠かさないため「またそろそろうかがわなければと思っています」と墓前に報告するつもりだ。

 「強き蟻」は、欲望まみれの男女が入り乱れ、犯罪が犯罪を呼ぶサスペンス。テレビ東京の中川順平プロデューサーは「光をあてたダイヤが7色に輝くように米倉涼子のいろんな顔が見られる、魅力全開の新たな主人公像です」と話す。

 豪華衣装も見どころで、米倉は約850万円の毛皮など総額約1370万円の衣装を身に着ける。