元宝塚娘役トップの舞羽美海(まいはね・みみ=26)が、映画ヒロインに初挑戦したことが30日、分かった。漫画家楳図かずお氏(77)初監督作「マザー」(9月27日公開)でヒロインの編集者を演じた。撮影は既に終えている。12年に宝塚を退団後、女優に転身し約1年。幅広い役柄を演じられる女優を目指しているという。

 女優転身後、活躍が期待されていた舞羽が異色映画でヒロインに初挑戦する。映画「マザー」は楳図かずお氏が初メガホンをとり、自分を主人公にしたホラー作品。主演は片岡愛之助(42)という話題作だ。本紙の取材に対して舞羽は「ホラー映画は怖くて見たこともなかったのですが、どういう風に撮っているのか、どんな気持ちで演じているのか興味はあった」と言い「聞いただけでワクワクする作品に出演できてうれしかった」と話す。

 楳図氏の半生を本にまとめようと奮闘する編集者を演じた。怪奇現象に巻き込まれる場面もある。役作りのため、「まことちゃん」「漂流教室」など楳図作品の大半を読んだ。「漫画喫茶に行ったりしました。(映画では)いろいろな場面で先生の世界観が出てくるので、見たら先生の本を読みたくなりますよ」。

 宝塚入団5年目に雪組の娘役トップに就任。12年に雪組トップスター音月桂(33)と同時退団した。「私自身、宝塚のファンとして入団しました。でもこれから挑戦していく中で、演じることの延長戦でやりたいと思って、女優の道に進むことに決めました」。

 退団後、ドラマや映画に出演したが、大役は今回が初めて。古巣の宝塚が100周年を迎える年に飛躍の機会を得られたのは偶然ではないかも知れない。「100年続いた宝塚にいられたのは誇りです。退団しても舞台とか世界観は好きです」と愛着は不変だ。退団後のこれまでを「学ぶ1年でしたが、引きだしはまだ少ない」と冷静に今の状況をみている。「やったことのないものに挑戦していきたい」という。ヒロインを務める「マザー」も「ただのホラーではなく、人の心理を描いているところに共感しています」と得られたものも大きかったようだ。「コメディー、笑いが苦手なので克服したい。怖いけれど頑張ります」。【森本隆】

 ◆舞羽美海(まいはね・みみ)本名未公表。1987年(昭62)8月22日、兵庫県生まれ。05年に宝塚音楽学校に入学。07年に宝塚歌劇団に入団。11年に雪組娘役トップに就任。「黒い瞳/ロック・オン!」などに出演。12年に雪組トップスター音月桂と同時退団。13年にWOWOWドラマ「LINK」、今年6月公開の映画「超高速!参勤交代」に出演。160センチ。

 ◆映画「マザー」

 人気漫画家になった楳図かずお氏の半生を本にしたいという編集者が取材を進めていく中で楳図氏の作品が母親に強く影響を受けていたことに気付いていく。同氏の原点を探ろうと故郷を訪れるが、そこで怪奇現象に巻き込まれていく。