行方知れずとなった出稼ぎの父を捜し求め、集団就職して上京した谷田部みね子。有村架純(24)がヒロインを演じるNHKテレビ小説「ひよっこ」(月~土曜午前8時)は明るく、けなげなみね子とともに、昭和30年代の架空の農村・奥茨城村の風景に癒やされた人も多いはず。NHKにロケ地を問い合わせると、茨城県内ということ以外は極秘とのこと。ならば、探してみよう奥茨城村!! 今月は茨城、栃木、群馬のロケ地を巡ります。

 みね子は現在、東京・墨田区のトランジスタラジオ工場で働きながら、父親を捜している。けなげなみね子がホームシックにならないようにエールを送るべく、取材班は茨城に向かった。

 「奥茨城村」について、NHKは現地の混乱を避けるためか、ロケ地を公表していない。それでも、茨城の高萩市や大子町(だいごまち)はロケ地として盛んにPRしている。奥茨城村唯一の交通インフラのバス停留所は「上賀口」。みね子たちが通学に使っていた。自宅から自転車で20分かけてやってくる。東京から車で3時間、常磐道の高萩インターで降りてロケ地と思わしき辺りをウロウロ。「上賀口バス停」のモデルに間違いない場所にすんなりとたどり着いた。

 通りかかったおじさんに「これって『ひよっこ』の撮影で使った停留所ですよね」と確認すると、まさかの駄目出し。「いや違うよ。この道を真っすぐ上り切ったところを左折して下りて行くと、ロケ地があるよ」と教えてくれた。危うく誤報のピンチ! 始末書や訂正記事のことを思い浮かべながら進むと、目の前にはためく幟(のぼり)が。「『ひよっこ』の舞台 茨城県北へようこそ!!」と鮮やかな文字が。そして「日立・常陸太田・高萩・北茨城・常陸大宮」の地名まで、堂々とひるがえっている。せっかくだからと、持参したみね子と母美代子(木村佳乃=41)の写真とともに記念撮影した。東京・渋谷のNHKでは極秘でも、現地ではウエルカム状態だった。

 昨年11月のクランクインで稲刈りシーンのロケ地となった、高萩市内の田んぼに行ってみたが田植え前。すぐに次の目的地の大子町へ切り替えた。くねくねした山道をラリードライバーのようにブレーキ&アクセルで走りきって到着。大子町は過去の朝ドラでも「おひさま」(11年上期)「花子とアン」(14年上期)のロケ地になっている。廃校となった旧上岡小学校は、レトロな雰囲気たっぷりで話題になった。

 「ひよっこ」の時代設定は1964年(昭39)。前の東京オリンピックが開かれた年。五輪の聖火リレーが奥茨城村を通らないことに残念に思った有志が計画した、自主聖火リレーが収録されたのが諏訪神社だ。裏手の広場に目印となる火の見櫓(やぐら)を発見。高さ20メートルほどだが、怖いので上るのは断念した。

 ロケ地を巡るうちに欲が出た。“ポスト谷田部みね子”の美女との遭遇だ。なんなら48人見つけて「IBK48」を結成してもいい(笑い)。自分が秋元康さんになれれば…なのだが。久慈川支流にある日本三名瀑(めいばく)のひとつ、「袋田の滝」へ向かう。そこら中に「ひよっこ」のポスターが貼られる中、入り口付近で美女発見■ 本年度の「奥久慈大子大使」の坂尾有加さん(24)だ。

 もう悔いはない。あとは名物のおそばとコンニャクを食べて帰京。「ひよっこ」のロケ地は、魅力満点の郷だった。【小谷野俊哉、川田和博】

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