将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が2日、デビュー30戦目にして初黒星を喫した。東京・千駄ケ谷の東京将棋会館で行われた第30期竜王戦決勝トーナメント2回戦で午後9時31分、101手で先手の佐々木勇気五段(22)に敗れた。公式戦初の日曜対局で、6月26日に自身が達成した最多連勝記録は29でストップ。

 藤井の快進撃を止めたのは、将棋界きってのイケメン棋士だった。佐々木五段が対局終盤、眼光鋭く相手玉をにらむ。97手目に相手陣に金を打ち込むと勝ちを確信。天才少年に初黒星をつけた22歳は「自分の形に持っていけた。(藤井が王手を連続した)終盤は残していると思った」。頬を紅潮させ、振り返った。

 「刺客」となるべく、準備してきた。藤井が29連勝した6月26日には対局室を訪れ、藤井フィーバーを肌で感じた。「雰囲気にのまれず、連勝を止める気で臨む」と、次の対局者として堂々とコメントした。

 言葉通り、終始冷静に14歳の攻めを受け止めての勝利。「プレッシャーは感じていたが、壁になれて良かった」と喜び、藤井について「簡単に悪くならず、どんな形も指しこなせる強さがある」とたたえた。

 スイス・ジュネーブ生まれ。幼少時の帰国後に将棋を始め、小学4年時に小学生名人戦を制した。同学年での優勝は渡辺明現竜王以来の快挙。また16歳1カ月でのプロデビューは、藤井、加藤一二三・九段、谷川浩司九段、羽生善治3冠、渡辺に次ぐ6番目の年少記録だ。将来のタイトル獲得も期待されるホープが、先輩の意地を見せた。