公式戦29連勝の新記録を樹立した将棋の最年少プロ、藤井聡太四段(14)が12日、愛知県体育館で開催中の大相撲名古屋場所4日目を観戦した。天才中学生が升席に座ると、観客が詰め掛け、握手や写真撮影を求める人が続出した。

 “時の人”の来館に、角界関係者も興奮しきりだった。取組後、普段は口の重い宇良は、藤井が自分に注目していることを聞かされると「本当ですか?」と目を見開き「今を時めく人にそんなことを言ってもらってうれしいですよ」と珍しく表情を緩めた。実は将棋ファンで、棒銀や穴熊を昨年、勉強し藤井の棋譜も見たことがあるという。将棋談議は止まらなかった。

 藤井は観戦前、役員室を訪れた。「将棋を指す時みたいに冷静だった」(八角理事長)が、将棋ファンの親方衆から「体が前傾の時は形勢がいい時なの?」など質問攻めにあい、迫力に押され気味だったという。「一芸に秀でるという点では我々に通じるものがあって(自分たちも)尊敬ですよ」と同理事長。幕内2番目に取組があった臥牙丸も「総理大臣が来たのかと思った。(館内のファンは)誰も相撲を見てくれてないと思いながら取ったよ」と異様な空気を感じていた。