この一戦の勝敗は、大きな違いがあった。勝てば、準決勝・決勝を8月27日に群馬県高崎市の家電量販店「LABI1高崎」で行う。そこで連勝できれば、公式戦初優勝という道が開けるはずだった。15歳1カ月での最年少優勝(従来の最年少優勝は加藤一二三・九段=引退=が55年に四・五・六段戦で達成した15歳10カ月)も夢と消えた。

 藤井は現在、新人王戦、加古川青流戦でもベスト8まで進出している。例年、新人王戦決勝は9月下旬から10月中旬、加古川は10月下旬に行われる。公式戦初優勝と最年少記録達成は、まだ期待できる。タイトル戦では、棋王戦で挑戦者決定トーナメントに進出。棋聖戦と王将戦は、予選を戦っている。こちらは早ければ来年にも挑戦者となる可能性がある。

 「負けはとても残念。でも、強くなるのが今は最優先。そこに向けて頑張っていきたい」と、気を取り直す。この日の敗戦を糧に、成長する姿を誰もが期待している。【赤塚辰浩】

 ◆上州(じょうしゅう)YAMADAチャレンジ杯 日本将棋連盟、上州将棋祭り委員会主催。ヤマダ電機特別協賛。出場資格は五段以下でプロ入り15年以下の棋士と、選抜されたアマチュア強豪1人。今年は39人が参加する若手限定のトーナメント。昨年創設され、第1回は船江恒平五段(30)が優勝。