公式戦29連勝の新記録を樹立した将棋の最年少プロ、藤井聡太四段(15)が15日、大阪市の関西将棋会館で指されたタイトル戦の王位戦予選で小林健二九段(60)を破り、公式戦通算36勝目(3敗)を挙げた。

 序盤から攻めた藤井は中盤には波状攻撃を仕掛け、投了に追い込んだ。終局後「中盤はまずまずかなと思っていましたが、難しい局面もあった」と振り返った。

 藤井の大師匠(師匠の師匠)は故板谷進九段。小林の師匠も板谷九段で、藤井にとっては同門の大先輩にあたる。小林は「少し構想がまずかった。藤井四段は強かった」と完敗を認めたが、この日の対局への強い思いを語った。

 藤井の師匠の杉本昌隆七段は、小林にとって弟弟子にあたる。勝負服の羽織はかまの和装で挑んだ小林は「願いがかなうなら、板谷先生にこの対局をみてもらいたかった。きっと天国で見てくださっていると思う」と話した。

 一門の大先輩からの白星に藤井は「本当に小林先生の気合というか、私は板谷先生とは直接、お会いしたことはなかったが、小林先生の言葉を聞いて東海地方に早くタイトルを持ってきたいと思いました」と誓った。

 この日の対局は、来夏の王位戦7番勝負の挑戦者を決める戦いの初戦。持ち時間は各4時間。予選トーナメントを勝ち抜くと、シード選手を含めた計12人が2組に分かれてリーグ戦を実施。各組の優勝者が挑戦者決定戦を行い、勝者が7番勝負へと進出する。今年の7番勝負は現在開催中で、羽生善治王位(46)と挑戦者の菅井竜也七段(25)が対局している。

 藤井の次戦は22日の朝日杯オープン戦。大石直嗣六段(27)と対局する。