第48回衆院選は23日、全465議席が確定した。自民党は、公明党とともに定数の3分の2となる310議席を確保する圧勝だが、実態は、野党分裂による“棚ぼた勝利”だ。一方、希望の党は公示前の議席に達せず、失速。東京10区で落選した希望の若狭勝氏(60)は、早々と引っ越し作業に着手。日刊スポーツの取材に、永田町を去る心境を激白した。

 「週内には出なきゃいけないんですよ」。退去のための片付けが進む衆院議員会館の事務所。目は充血していたが、意外にすっきりした様子で話した。若狭氏は、希望の党失速の原因の1つとなった「(小池氏の出馬は)次の次」発言について、「私は小池さんが出馬しないのを知っていたから、戦略的に言った」と明かした。

 今月1日の「次の次」発言は「小池首相」への期待を大きくそぎ、日本維新の会の松井一郎代表からも「政治家として未熟」と批判された。「100%出馬はないと知っていた。しかし、周りの期待感だけがふくらんだ。他の人は知らないが、私は知っていたから。公示直前に期待が一気にしぼむより、早めにクールダウンさせる必要があった」。未熟との批判には「特捜部の検事として自民党相手にやってきた。戦略的な話だったんです」と反論した。

 「次の次」に加え、小池氏の「排除」発言で流れは完全に変わった。敗因について「希望の党ではなく、より新しい立憲民主党により多くの人の目が行った」と振り返った。

 希望の党が自民党の補完勢力との指摘もあったが「安保は現実路線で、自民党とそう変わらない立場だが、内政は消費増税凍結などかなり違っており、リアクションもよかった」。一方で「自民党と対決する意味では安保でも自民と違った立憲民主党の方が、受け皿として分かりやすかった」と分析した。

 13年参院選比例区(次点で落選)、14年衆院選比例東京(初当選)、小池氏の都知事選出馬による16年の衆院東京10区補選(当選)、今回の衆院選。4年で4回の国政選挙に立て続けに出馬した。若狭氏は「他にいないと思う。おかげさまで選挙のことはかなり勉強させてもらいました」と苦笑いした。

 次の国政選挙は2年後の参院選。若狭氏は「自分の中では65歳を超えて国会議員をするのはよろしくないと思っている。今回の候補者の見極めもそう思ってやった」と明かした。その上で「参院なら任期が終わるころには70歳近い。見極めた自分がそれをやるのはという思いがある」と難色を示した。次期衆院選については「来年あればね」と笑った。小池都政に加わり、都民ファーストや希望の党に関係していくことも「選択肢としてはある」。今後の活動の舞台について「どの分野かは分からないが、日本を少しでもいい方向に、という思いは変わらない」と話した。【清水優】