ノーベル平和賞を受賞した国際非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の川崎哲国際運営委員(49)が24日、横浜港大さん橋国際客船ターミナルで「第95回ピースボート」の成果報告を行った。日本が核兵器禁止条約に署名していないことについて「政府の姿勢については残念でならない。世界はあきれている」と語気を強めた。

 NGO「ピースボート」はICANの主要運営団体の1つ。川崎氏は同組織の共同代表も務めている。83年に国際交流を目的に設立され、08年からは被爆者が船に乗り世界各国で被爆体験を語る「ヒバクシャ世界一周 証言の航海」を続けている。7月に採択された核兵器禁止条約の制定に向けて「革新的な努力を尽くした」ことが評価され、ノーベル平和賞を受賞した。

 川崎氏は同賞を「核廃絶に向けて努力してきた全ての人たちのもの」と主張した。ただ、現在53カ国が条約に署名する中、唯一の被爆国である日本は反対の立場を示している。

 10歳の時に長崎で被ばくした木村徳子さん(82)は、今回の乗船者で唯一の被爆者。国連でのイベントなど、計6カ国8都市で精力的に活動した。「素晴らしい経験だった。核に対しての認識が違う人たちの思いも知ることができた。今後もできる限り頑張りたい」と力を込めた。各地で交流した人たちからは、「なぜ日本は条約に署名しないのか?」と何度も聞かれたという。「海外の方にそう聞かれて、恥ずかしい思いをした。日本政府の対応には納得できない」と語った。

 被爆者の高齢化が進む中、ピースボートでは被爆体験を継承し、核のない世界に向けて活動する「おりづるピースガイド」の養成を進めている。この日までに40人が修了しており、今後は全国各地での講習なども予定している。川崎氏は「これからは、日本国内からも認識を変えていきたい」と意気込んだ。