漫画家のやくみつる氏(58)が1日、都内で行われた、選考委員を務める「現代用語の基礎知識選 2017ユーキャン新語・流行語大賞」発表・表彰式後、ニッカンスポーツコムなどの取材に応じた。その中で、来年の流行語大賞でキャッチーな言葉を発する期待の人物として、大相撲の貴乃花親方(45)の名を挙げた。

 やく氏は授賞式の中で、大相撲の横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が平幕貴ノ岩(27=貴乃花)へ暴行を加え、負傷させた一連の問題のタイミングが「いささか遅きに失した感がある」と残念がった。その件に話を向けられると「何せ、直近過ぎた。しかも、出たのは負の言葉ですからね」と失望感を吐露した。

 もし、日馬富士の一連の問題が、もう少し早い時期に起こっていたら、選んだ言葉はあるか? と聞かれると「選んだ可能性はないとは言えない。さすがに『髄液漏れ』はないにしても、締めにかかった白鵬の『万歳三唱』。褒めているわけじゃないですよ。勘違いも甚だしい言葉として印象的」と断言した。

 相撲界の今後については「理事長選で、またひと荒れするわけでしょう」と見通しを語った。その上で「そこでキャッチーな言葉が出れば、また年の瀬まで持っていくかも知れない…しかも語らない人でしょう」と貴乃花親方の発言に注視していると発言。「逆に語らない人がどぎつく、キャッチーなことを言ったら、おもしろい。理事戦に立候補するのか、取り下げるのか…そこは面白そう」と期待した。

 また今年は、ベストテンに入った「35億」のブルゾンちえみ(27)、「ひふみん」が入った将棋の加藤一二三九段(77)をはじめ、著名人の欠席が目立った。そのことについて「こればかりは選考委員がうかがい知れないところ。お仕事で来られないとは聞いていた」と説明。例年、表彰式に登壇した、お笑い芸人からフレーズを短冊に書いてもらうことをライフワークにしてきただけに「担当してから、書いてもらって、ずっとためている。欲しかったな…今年は手ぶらで帰る」と失望感をのぞかせた。

 その上で「忖度(そんたく)」、「魔の2回生」をはじめ、負の言葉が多かったことも、登壇者を選びにくかった部分に影響があったことも指摘。「(受賞者に)誰を呼ぶかは自分たちが決めるわけではないですが、想定するわけです。籠池夫妻は(拘置所に)入っちゃっているし、役人、(安倍)昭恵さんが来るわけでもないし」と語った。その上で「事務局は、よく忖度まんじゅうを探してきた」と、1つのワードについて徹底的に出自を取材し、受賞者を探し、呼んでくる事務局の尽力をたたえた。

 そして、負の言葉が多くなってしまう現状に「困りましたね。スポーツあたりで景気のいい声が出れば別だった」と嘆いた。来年に期待することは、と聞かれると「景気のいい言葉、下さいよ。大きなスポーツ界のイベント…平昌(ピョンチャン)五輪もあれば、W杯ロシア大会もあるから、そこで何か欲しいよな」と熱く語った。【村上幸将】