将棋の史上最年少プロ、藤井聡太四段(15)が23日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第3期叡王戦本戦トーナメント1回戦で166手の激戦の末、A級在籍棋士の深浦康市九段に敗れた。優勢に進めながら持ち時間を使い果たしてミスが出て、深浦の粘りに屈した。

 藤井は終局直前、脇息(きょうそく)にもたれかかったり、力なく手を指すなど、悔しさをあらわにした。投了を告げるとガックリと肩を落とした。「途中、指しやすさを感じていたが、寄せ方を間違えた」と振り返った。

 15日には深浦と同じA級の屋敷伸之九段を朝日杯で倒したが、今回は壁にはね返された。

 深浦とは今年4月にインターネットテレビ局Abema(アベマ)TVの番組企画として放送された「藤井聡太四段 炎の七番勝負 第5局」で対戦。藤井が非公式戦ながら勝利している。最近の対局の棋譜を取り寄せるなど、研究してきた深浦の攻めると見せては守り、守ると見せては攻める変幻自在の指し回しに、局面をひっくり返された。

 昨年12月24日のデビュー戦以来、「プロになる前にはなかった経験をさせてもらった成長の1年」と振り返る。28日に大阪市の関西将棋会館で行われる王座戦予選、対豊川孝弘七段戦が今年最後の対局。高校進学も含め、「何事にもできるだけ全力で取り組む」が目標の2018年を迎える。