横浜市神奈川区の商店街で11日未明、女性が刃物で刺され重傷を負った事件で、神奈川県警は12日、強盗殺人未遂容疑で、現場近くに住む無職近江良兼(よしかね)容疑者(71)を逮捕した。金品を奪う目的で女性を刺すなどして殺害しようとした疑いで、容疑を認めている。

近江容疑者は、事件から約11時間後の11日午後2時半ごろ、近くの知人男性に「商店街の事件のあとを見に行く」と話し、自宅近くから商店街に向かっていた。近江容疑者とは16年ほどの付き合いという、近くに住む知人男性(84)は「寡黙だが、こんな事件を起こすような人間じゃない。信じられない」と話した。

男性によると、散歩が日課の近江容疑者に「今日はどこへ散歩だい」と聞くと、近江容疑者は「商店街。事件があったらしいから、その後を見に行く」と話していたという。酒を飲んでいる様子もなく、男性は「普段通りの近江君だった」と話した。

近隣住民らによると、近江容疑者は妻と2人暮らし。自宅は坂道の多い住宅街の一角の、よく手入れされた一軒家だ。近江容疑者は鉄工所を定年退職後、別の仕事をしていたが、数年前に「脳梗塞を起こしてから仕事を辞め、つえを離さなかった」という。パートから帰ってくる妻をいつも玄関で出迎えるなど、「夫婦仲は良さそうだった」という。

男性は数年前、近江容疑者が妻に止められていた酒を自宅に招いてごちそうしたことがあり、「その時は奥さんに怒られた。でも、その後も、時々は隠れて飲んでいたようだった」と話した。ただ、生活に困った様子はなかったという。【清水優】