入場者が40万人を突破した「フェルメール展」(上野の森美術館)と「ムンク展」(東京都美術館)、23万人に達した「ルーベンス展」(国立西洋美術館)とこの冬、東京・上野公園は大型美術展で空前のにぎわいとなっているが、約3キロ離れた水道橋ではカルト的な絵画展が大評判となっている。

東京ドームシティのギャラリーアーモで開催されている「バッドアート美術館展」。ポスターからして「芸術か? ゴミか? 日本初公開!! てゆーか最後かも(笑)」。真摯(しんし)に制作されたにもかかわらず、なぜか道を踏み外し、残念な結果に終わった作品群だ。バッドアート美術館(米ボストン)のコレクションから110点が日本初公開された。

「ひど過ぎて目をそらせない」残念なアートだけに、レンブラントの「ユダヤの花嫁」を基にした作品は、乳房をまさぐっているとしか見えず、作品名は「高貴なまさぐり」となった。スペシャルサポーターの漫画家しりあがり寿氏が作品に「セクハラ!!」「いや、グーゼンだって」と吹き出しを付け、失笑を誘う。

「毛布に横たわる女性」という作品には「裸婦像というより殺人現場です」、エルビス・プレスリーの肖像画「パブロ・プレスリー」には「プレスリーのメキシコ人のいとこでしょうか」と解説が付く。あちこちでクスクス笑いが起こる。

米CNNテレビはバッドアート美術館を「世界で最も奇妙な美術館・博物館15選」の1つにしている。日本人の作品はなかったが、作品を募集したところ、84点が寄せられ、大みそかに寄贈作品が決定する。

東京ドームによると、入場者は1万人を突破。「フェルメール展」と張り合うかのように、年末年始無休で開催中。【中嶋文明】