会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)の弁護人に就任した弘中惇一郎弁護士(73)は4日、都内の日本外国特派員協会で会見し、「常識で考えて刑事犯罪になるような事件ではない。無罪を取れてもおかしくない」と主張した。「本来、日産内部で調査して是正できる。道義的なレベルでも、ゴーンさんに何か責められる点があるとは思わない」とも指摘した。

小沢一郎氏が強制起訴された「陸山会」事件や、厚労省の文書偽造事件で村木厚子・元局長の主任弁護人として無罪を勝ち取り、「無罪請負人」「カミソリ」と呼ばれる。「73歳だが、まだカミソリの切れ味があるか試したいと思っている」と語る場面もあった。「関係者が世界に散らばり、裁判は大変なものになると覚悟している。歴史的、社会的にも重要な裁判になる」との認識も示した。

一方、日産の内部調査を機に事件が発覚したことに触れ、「事件はほとんど10年以上前の話で、日産も10年前から知っていた。なぜ今、刑事事件として届け出たのか、奇妙に思う」と指摘。「司法取引という形で、日産に害が及ばない前提で協力している。普通のことではないと思う」とも述べた。

弘中氏らは、元東京地検特捜部長の大鶴基成弁護士らに代わり、先月弁護人に就任。同28日に3度目の保釈を請求した。ゴーン被告の強い希望という。保釈後にゴーン被告が外部と情報交換できなくなる工夫や、監視カメラの使用を東京地裁に提案。「そう遠くない時期に保釈になる可能性は十分ある」と、自信を示した。拘置所で100日以上勾留が続く同被告は「元気を維持している」という。