日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)の弁護団の弘中惇一郎弁護士(73)が9日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた後、都内で報道陣の囲み取材に応じた。

その中で、同容疑者のキャロル夫人(52)が、東京地裁から証人尋問の日程調整の連絡があった直前にフランスに帰国した件について、4日に同容疑者が逮捕された際に、キャロル夫人の携帯電話が東京地検に押収されたため連絡できなかったことを理由の1つに挙げた。

弘中弁護士は、キャロル夫人が日本を出国し、フランスに帰国するに至った理由について「もともとはフランスに戻る予定で『そこまでいてもいいんじゃないですか、大丈夫』という意見と『怖いし何があるか分からないから』というところで議論した」と説明。5日の昼頃に「もうフランスに帰ります」と帰国が確定したという。一方で、キャロル夫人は、ゴーン容疑者が逮捕された4日、東京地検特捜部の係官に「明日の午後1時に検察庁に来なさい」と言われていた。

弘中弁護士は「元々『13時に検察に来い』という意味の分からないことがあって、気になっていたんだけど、それ以上の連絡がなかったんですが(5日)午後になって尋問請求があった。任意の調べに応じない時という要件があるもんですから、検察官の方で要件を満たしたと判断されたので申請されたのでしょうね。夕方に裁判所から連絡があったみたい」と経緯を説明した。

その上で「ところが、弁護士とキャロルさんの連絡が付かない。電話を取り上げられているわけですから。キャロルさんに伝わらず、出ちゃった(日本を出国した)のが、時系列的な流れです」と説明した。

キャロル夫人の今後については「聴取じゃなくて証人尋問ですから。証人尋問はお受けする。聴取に変わる証人尋問を、検察官が申請していたわけですから」と、証人尋問には応じる姿勢を重ねて強調した。【村上幸将】