会社法違反(特別背任)などで起訴された日産の前会長カルロス・ゴーン被告(65)の再保釈から一夜明けた26日、東京地裁は弁護側、検察側を交えた3者協議を開き「9月初公判」との見通しを撤回した。

具体的な時期は示されていない。ゴーン被告が、15年12月から昨年7月にかけてUAEの会社「中東日産」からオマーンの代理店側に支出した日産の資金を私的流用し、約5億6300万円の損害を与えた疑いで4月22日に追起訴されており、初公判は年明け以降にずれ込む可能性が出てきた。

また、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)などの罪で起訴された事件で、弁護団は共犯として起訴された前代表取締役のグレゴリー・ケリー被告(62)と同罪で起訴された法人としての日産と裁判を分離したうえで、別の裁判官が審理するよう東京地裁に申し立てていたが、地裁は裁判を分離しないことも決めた。

弁護団の弘中惇一郎弁護士(73)は同日、都内で報道陣の取材に応じた。地裁が「9月初公判」を撤回したことについて「裁判所が先に言ったのか、誰かが確認をして言ったのか、はっきりしませんが『これはなしです。希望的なことは言ったことがあったけれど、撤回します、そういう話はありません』と」と地裁から話があったことを明かした。

裁判を分離しないことについては「進行の仕方について協議した結果、地裁がそうしたいと。事件の性質上、今の裁判体は責任を持ってやりたいと。裁判は分離しないということで回答がありました」と語った。