安倍晋三首相は11日、参院選での勝敗の鍵を握る「1人区」の1つで、自民VS野党の激戦が伝えられる大分県を訪れ、3カ所で遊説した。自民党の礒崎陽輔氏(61)は元首相補佐官を務めた首相の側近で3選を目指しているが、序盤の情勢調査では、野党統一候補の安達澄氏(49)との間で、大接戦になっている。

九州はもともと保守地盤だが、大分は随一の与野党激戦区。前回の16年参院選も、自民は当時の民進党候補に1090票差で敗北した。礒崎氏は15年、安保法制審議をめぐる失言で、国会での謝罪と発言撤回に追い込まれた。首相の側近でありながら厳しい戦いだ。

首相は別府、大分、日田各市を回り、自民への支持を訴えた。農業がさかんな地域性を念頭に、農産物の輸出やブランド化推進に意欲を表明。外国人に人気の温泉地が多いことも踏まえて「農業と観光の相乗効果で地域をにぎやかにしたい」と、アピールした。大分を重点区とする自民は、すでに二階俊博幹事長や菅義偉官房長官、小泉進次郎氏らも投入。野党側も幹部が応援に入っており、終盤まで激戦が続きそうだ。

大分にはNHKから国民を守る党の牧原慶一郎氏(41)も立候補している。