9月の内閣改造後、初の国会となる第200臨時国会は4日召集され、安倍晋三首相が衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。

肝いり政策の1億総活躍に触れた際、立場は野党ながら、15年来の交流があるれいわ新選組の舩後靖彦参院議員に言及。7月の参院選初当選を「友人として心よりお祝い申し上げます」と述べ「障がいや難病のある方が生き生きと活躍できる令和の時代をつくり上げるため、国政の場でともに力を合わせたい」と、異例のエールを送った。舩後氏が出席した参院本会議では、野党席が大きくどよめいた。

首相は03年、街頭演説を通じて舩後氏と知り合い、「メル友」に。先月4日には、舩後氏が官邸に初当選のあいさつで訪れ「互いに切磋琢磨(せっさたくま)したい」と伝えている。

首相の演説を本会議場で聞いた舩後氏は、事務所を通じ「障がいのある人もない人も幸せになれる社会の実現に向けた、首相の決意と覚悟と受け止めた」とコメント。重い障がいのある人を支える「重度訪問介護」が、現状では仕事中の公的補助を認めていない点に触れ、「制度改正を首相とともに実現していきたい」と強調した。与野党の対立を超えて連携できる課題だけに、れいわの山本太郎代表も会見で「首相に1億総活躍という意識があるのなら、ぜひ(制度改正に)力を合わせてほしい」と訴えた。

一方首相は、米国に押し切られた日米貿易交渉を、相変わらず「日米双方にウィンウィン」と言い張り、持論の憲法改正へ議論の必要性を呼びかけた際、「憲法審査会」と言うべきところを「憲法調査会」とミス。来週からの論戦を待たずに、野党の大ブーイングを浴びた。【中山知子】