2020年東京オリンピック(五輪)のマラソンと競歩が札幌開催に変更されることが確実な情勢となっている中、費用分担問題が早速、くすぶり始めた。東京都の小池百合子知事は18日、定例会見で「経費は国が持つと(武藤)事務総長が言った」と発言。一方、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は「国に頼んでみましょうかとは言ったが、まだ頼んでもいない」と否定。2年前に大もめした経費の役割分担が、再燃し始めた。

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小池知事の発言を受け18日夜、記者団の取材に応じた組織委の武藤事務総長は「知事は札幌だったら東京は負担できないという考えのようだった。だから私が『国にお願いしてみましょうかね』と言った。決まっているという言い方はありえない」と声を大にした。

都は、いわばマラソンを国際オリンピック委員会から取り上げられた形。その都が費用負担することはあるのか問われ「それも決まってはいない」と都負担を否定せず、含みを持たせた。札幌市の負担についても言及。「地元のセキュリティーなど費用負担はゼロではないと思う」と述べた。

「(経費は)IOCに持ってもらいたい」と前日17日に話した組織委の森喜朗会長もこの日、取材に応じ「IOCにお願いしたいのは変わらないが一部、警備などは国にお願いしたいというのが事務総長の考えなのでは」と答えた。

札幌市の秋元克広市長は17年5月に決まった役割分担の大枠合意を原則にし、恒設施設以外の運営費負担は組織委が持つべきとの考えを表明している。

菅義偉官房長官はこの日、費用負担について「都と組織委が責任を持つものだと理解している」と話し、国負担を否定した。

大枠合意では、国は新国立競技場の整備費とパラリンピック経費の4分の1となる計1500億円とし、五輪の直接的な運営費は負担しないと決まった。

都は都外の仮設費用の多くを担う。しかし小池氏は「開催都市に協議もなく提案が突如で疑問を感じざるを得ない。東京でという気持ちに変わりはない」と不快感を示し、さらに武藤氏の感触からも負担に応じない可能性が高い。

17年5月まで半年以上、都、組織委、国、開催自治体が経費分担を巡り、もつれにもつれた状況が開幕10カ月を切る中、再燃する可能性も出てきた。【三須一紀、佐藤勝亮】