社会問題化し厳罰を求める声が高まっている「あおり運転」対策として、悪質で危険な運転には免許取り消しができるよう、警察庁が制度改正を検討していることが7日、分かった。

あおり運転は、現行では事故を起こし、危険運転致死傷容疑などで摘発されない限り、免許取り消しにならない。警察庁は全国の警察に、道交法の車間距離保持義務違反や急ブレーキ禁止違反などを適用した徹底取り締まりを指示しているが、違反点数は1~2点で罰則強化を求める声が上がっていた。

警察庁では行政処分では最も重い免許取り消しを適用することで、悪質なドライバーを排除する考え。年明けの通常国会に関連法案を提出する。

17年6月、あおり運転を受け、東名高速の追い越し車線で停止させられた一家4人が乗る車に10トントラックが衝突。夫婦が死亡した事件を機に、あおり運転の摘発は進んでいる。車間距離保持義務違反での摘発は昨年、前年比倍増の1万3025件(うち高速道路1万1793件)に上っている。しかし、違反の累積がなければ免許取り消しにならなかった。

今年8月、衝撃的なドライブレコーダー映像が流れた常磐道のあおり運転殴打事件も、会社役員の男は(1)傷害容疑(2)急な車線変更や減速で無理やり被害者男性の車を停止させた強要容疑、で逮捕されたが、これだけでは免許取り消しの対象にはならず、「危険性帯有者」として最長180日間の免許停止にとどまるという。

警察庁では、(1)危険性帯有者に関する処分の基準を改正して適用する(2)道交法であおり運転に関する新たな罰則を設け、点数制度により適用する、などの案を検討。免許取り消しができるよう制度改正する。