2020年東京オリンピック(五輪)公式映画の監督を務める、河瀬直美監督(50)の国内初の大規模特集上映「映画監督 河瀬直美」が24日、都内の国立映画アーカイブで開幕した。

最初の上映は、生後すぐに生き別れて記憶にすらない父親を探すことで、自らの出自を問う92年の「につつまれて」だった。河瀬監督は、故樹木希林さんが主演した15年「あん」など、著名な作品ではなく、あえて若手時代のドキュメンタリーを最初の上映作に選んだ。その理由について「(製作中は)自分が、どこから来て、どこに行くか、プライベートにカメラを向け、自分自身を掘り下げる時間だった。プライベートを描いた、原点になった作品。形になった時、将来は監督になるだろうと思った」と語った。

監督人生30年の節目に、31本の作品を上映する特集上映が国内で初めて企画、開催されたことを受け、河瀬監督は観客に直接、語る機会として、可能な限り舞台あいさつに登壇することを希望。この日も質疑応答に応じた。観客から「死ぬ時は誰に映画を撮って欲しい?」と質問が出ると「100歳を超えても映画を撮りたいけれど、こればかりは分からない。もし、死がやってきたら息子に撮ってもらいたい」と笑みを浮かべた。

会場の後方には、15歳になる河瀬監督の長男が座っていた。長男は「撮って欲しいと初めて言われた。映像関連の道に行こうと今から考えているから、機会があったら。でも、カメラマンになろうと思ってないから、どういう撮り方になるか、分からん」と苦笑い。そして「死なへんと思うけどな」と河瀬監督に呼び掛けた。それには、同監督も苦笑いするしかなかった。

「映画監督 河瀬直美」は、年内は24日から27日まで、年始は1月4日から19日まで開催される。24日の2本目の上映となる97年の「萌(もえ)の朱雀(すざく)」は世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭(フランス)で新人監督賞「カメラドール」を受賞したほか、当時、中学生だった尾野真千子を見いだし、主演としてデビューさせた作品。注目度が高く、開演前から長い行列が出来た。【村上幸将】