東京地検特捜部は25日、日本での統合型リゾート施設(IR)事業参入を目指していた中国企業側から、現金300万円や約70万円相当の利益供与を受けたとして、収賄容疑で衆院議員秋元司容疑者(48)を逮捕した。特捜部による現職国会議員の逮捕は約10年ぶり。秋元容疑者は逮捕前、自身の関与を否定した。安倍政権肝いりのIR事業が、現職の与党議員を巻き込んだ汚職事件の舞台となり、政権が受けた傷は大きい。特捜部は関連先として、同党の白須賀貴樹衆院議員(44)らの地元事務所も捜索した。

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元東京地検特捜部副部長若狭勝弁護士の目

秋元容疑者は容疑を否認しているが、任意で事情を聴いた後に議員会館に家宅捜索に入ったことからも分かる通り、関係者から詳細の供述が取れているのだろう。特捜部は自信を持っている。間違いなく起訴するだろう。白須賀衆院議員と勝沼前衆院議員の事務所への家宅捜索は、人間関係の広がりの中で捜査が展開したものだと思う。

国会議員の不逮捕特権をにらみ、通常国会が始まる前に捜査を横に広げる狙いで早めに秋元容疑者を早めに逮捕した。今後、どこまで展開するかだが、政権を揺るがす幹部まではやれないと思う。中堅クラスまででないか。

2010年の大阪地検特捜部の証拠改ざん事件の影響で、「暴走」といわれるのを恐れ、長らく特捜部全体がリハビリに入っていた。約10年ぶりの現職国会議員逮捕は、特捜部の存在意義を示すテークオフだ。大手ゼネコンのリニア談合、文科省汚職、日産ゴーン元会長の特別背任を指揮した森本宏特捜部長はこの夏、異動予定だったが、政財官で残る政のこの案件のため特捜部長にとどまったという。かなり前から手掛けていたことが分かるだろう。