米国から大麻を密輸したとして大麻取締法違反、関税法違反の罪に問われた元オリンピック(五輪)代表プロスノーボーダー国母和宏被告(31)の判決公判が28日、東京地裁(村田千香子裁判官)で開かれ、懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役3年)の判決が言い渡された。

濃紺のスーツに白のシャツ、黒のネクタイを着用した国母被告は、開廷3分前の午後2時27分に法廷に入廷。直立不動で一礼した後、着席し、目をつぶった。両手を祈るように組み合わせてから、目を開いた。

鼻の下にヒゲをたくわえた国母被告は、午後2時28分に組み合わせた両手を解くと、右手で左手首を執拗(しつよう)にかくなど、気にしている様子だった。そして同29分、村田裁判長から「少し早いですが、開廷します」と言われて促されると、証言台の前に立ち、読み上げられる主文を直立不動で聞いていた。

起訴状によると、知人の男と共謀し、2018年12月に米国から大麻をワックス状にした製品約57グラムを国際スピード郵便で東京都内の知人宅へ発送、成田空港に到着させて密輸したなどとしている。共犯として起訴された男は昨年12月、懲役3年(執行猶予4年)の有罪判決を受け、確定している。

国母被告は8日の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。その上で「大麻は北米で14歳ごろから使用していた。英語がしゃべれず、大麻を吸うことがコミュニケーションだった」などと説明。過去に何度も妻から大麻使用をやめるよう注意されたことを明かし、「たくさんの人に迷惑をかけた」とした。

一方で入手ルートに関しては「黙秘します」と即答。「大麻に関わることがすべて違法だとは思っていない。日本で吸うことは違法なのでもうしません」とも話した。検察側は論告で「再犯の可能性が高い」と主張していた。

国母被告は06年トリノ冬季五輪、10年バンクーバー冬季五輪に出場。バンクーバーでは日本選手団の公式服装でズボンをずり下げた「腰パン」が問題視され、謝罪会見の態度も批判された。嘆願書には14年ソチ五輪スロープスタイル金メダリストのセージ・コッツェンバーグ(米国)らトップ選手が名を連ねた。