政府与党寄りの「采配」ぶりとして野党から批判を受けている棚橋泰文・衆院予算委員長(自民党)が、3日の同委員会でも質問者の要求と異なる閣僚に答弁させ、委員会が荒れるひと幕があった。

 

立憲民主党の辻元清美氏が、「桜を見る会」の前夜祭をめぐる収支が政治資金収支報告書に記載されていないなど、不自然な流れがあるとして安倍晋三首相を追及。「いつものパーティーと同じように記載すれば何の問題もない。前夜祭だけなぜ記載しなかったのか」と述べ、首相の行為を「脱法行為」と指摘。首相の政治資金に関する質問として、首相に答弁を求めた。

 

しかし棚橋氏は、首相ではなく選挙全般を管轄する高市早苗総務相をまず指名。「総理でしょ。総理しか答えられないよ」と叫ぶ辻元氏をよそに、高市氏が総務相として見解を主張。野党側の理事が委員長席に集まり、棚橋氏に抗議した。

 

棚橋氏は首相にも答弁させようとしたが、辻元氏は「こんなのめちゃくちゃだ。今みたいな仕切りだと、いくら質問してもちゃんとした答えを得られない」と反発し「私も真剣にやってんだ!」と、怒り心頭でと抗議したが、棚橋氏は今度は「(声が)聞こえない」などと、反応。この間、辻元氏の質問時間は止まることなく進行。辻元氏は「桜を見る会の話になると、異常な運営になる」と、桜問題での棚橋氏の議事進行に強い疑問を示した。

 

この後、答弁に立った首相は「辻元さんが『脱法行為』と言ったのは重大な発言。解釈するのは総務大臣なので、一般論で答弁させてもらった」と、釈明した。

 

棚橋氏をめぐっては、立民の枝野幸男代表が「首相にしっぽを振っているポチ」と批判するなど、波紋が広がっている。この日は棚橋氏が「閣僚席からの不規則発言はおやめください」と、閣僚のやじをいさめる場面もみられた。