安倍晋三首相は22日、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の早期終息に向けて「今が非常に重要な時期」とした上で、大型連休中には実際に帰省するのではなく「ビデオ通話を使用したオンライン帰省をするなど、外出自粛への協力をお願いしたい」と呼び掛けた。緊急事態宣言について延長するかどうか、5月1日か2日に会見で明らかにするとみられる。

首相は22日夕、新型コロナウイルス感染症対策本部会合を官邸で開催、緊急事態宣言の早期終息に向け「今が非常に重要な時期。何としても8割の接触機会の低減を実現するべく、感染拡大防止に向けた取り組みを徹底する」と強調した。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための目標「人の接触の8割削減」は分かりにくいとの声も多い。会合の前に行われた政府の専門家会議では、対策を進めるため「帰省の代わりにビデオ通話」「買い物は1人か少人数ですいている時間に」など、具体的な10の方法が示された。

離れた場所にいる人との会話はオンラインのやりとりを推奨。帰省の他にも、ビデオ通話機能を利用した「オンラインでの飲み会」「遠隔診療」「在宅勤務」を挙げている。医療機関での定期受診は間隔を調整するよう求めた。また、店舗での人の接触を減らすため「急ぎでない買い物の通販」や「飲食店での持ち帰りや宅配」の利用を勧めた。

体を動かす際の留意点として「ジョギングは少人数で、公園はすいた時間や場所を選ぶ」ことや「筋トレやヨガは自宅で動画を活用」することを挙げた。あらためて「会話はマスクをつけて」行うことも要請。尾身茂副座長は専門家会議後の会見で「接触の8割削減が達成できているとは言えない。もう少しの努力や工夫をしていただきたい」と述べた。

緊急事態宣言の延長の可否をめぐり、政府内には「今の感染状況が続けば宣言解除は無理だ」(官邸筋)との慎重論もある。宣言を全国に対象を拡大してから2週間となる30日ごろに、感染状況に関する専門家の分析を聴き、宣言の延長や対象地域の見直しについて判断する構えだ。