立憲民主党の大串博志衆院議員は28日の衆院予算委員会で、政府が妊婦用に配布したマスクを受注した福島市の輸入会社「ユースビオ」の選定経緯に疑惑が出ている問題に関し「なぜこの会社か、ルートがはっきりしない。よほどのルートがないと、行き着かない。何かの人的関係、お友達であったとか、そういう構造があったのでは」と指摘した。

加藤勝信厚労相は、ユースビオ社との契約は3月16日で、受注額は5・2億円、マスクは3月中に納入されたと明かした。

ユースビオ社の受注をめぐっては、他の受注3社(伊藤忠商事、興和、マツオカコーポレーション)より公表が遅れ、3社に比べて会社の規模も小さい(資本金1000万円)ことから、受注の経緯に対する疑問が指摘される事態になっている。大串氏は「競争入札ではなく、随意契約。政府が入札をかけず、5億円でとお願いしている。相当な説明責任が生じる」とも指摘。アベノマスクをめぐる、国会の新たな追及テーマに浮上してきた。

大串氏は、法務局で同社の法人登記を確認したところ、会社の定款には、3月まで「再生エネルギーシステムやバイオガス発酵システムの研究開発、販売、発電や売電事業、ユーグレナやオリゴ糖のの生産加工販売、その他付帯関連する一切の事業」とあり、マスク製作や輸出入の記載がなかったと指摘。それにもかかわらず、マスク納入後の4月に入って定款が変わり、「貿易、輸出入代行、仲介、コンサルタント」という内容が追加されたとして、不自然ではないかとの見方を示した。

加藤氏は当初「輸出入をするもう1つの会社といっしょになっている」と、別会社の存在も示唆。後になって「ユースビオが主として、納品時期の調整も担当している。代表的にはユースビオ」と述べたが、大串氏は「今になって新しいことがいろいろ言われた。きわめて不透明だ」と指摘。「政府から、急ぐんだと、あなたしかいないんだとお願いするのが随意契約。どういう経緯で政府側から、随意契約で早く収めてくれという経緯になったのか」と、疑問をぶつけた。

これに対し加藤氏は「経産省主体で声掛けをし、それに答えてもらった事業者の1社」と明かした上で「品質や価格、供給能力、迅速な対応が可能かの観点で選定し、すみやかにマスクを配布する必要があり、随意契約した。納入計画の内容を提案いただき、納期などのヒアリングを行い、サンプル提出を確認し支障がないことを確認し、締結した」と述べ、問題はないとの認識を表明。「早くマスクを調達しないといけない。積極的に手を挙げていただけるところがあれば、もちろん品質や納期のチェックはするが、最大限今確保しないといけない。実績がある社だけではなく、異業種にもいろいろお願いしている。早くできるところを積極的に取りに行くのが今のわれわれの姿勢だ」と強調した。

大串氏は、政府が受注企業選定を急ぐあまり、「孫請け、孫孫請けで、受けてくれる社はないか探したのではないか」と、新たな疑問点も追及。「先週は3社に加えてあと1社あると厚労省は言っていたが、昨日になって、ユースビオが納めていたことがやっと分かり、これが4社目と特定できたと言われた。論理的にきわめて説明がおかしい」とした上で「布マスク(アベノマスク)に通底するもやもや感がぬぐえない」と述べ、さらなる検証が必要との認識を示した。