将棋の藤井聡太七段(17)が史上最年少タイトル挑戦へあと1勝とした。

2日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント準決勝で佐藤天彦九段(32)を下した。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のための緊急事態宣言に伴い、日本将棋連盟は長距離移動の対局を禁止した。このため、4月10日の王位戦挑戦者決定リーグ白組、菅井竜也八段戦以来、対局がなかった。間隔が1カ月以上開くのは、2016年(平28)12月24日のデビュー戦で加藤一二三・九段に竜王戦6組で勝った後、翌年1月26日の棋王戦予選、豊川孝弘七段と対戦して以来になる。ブランクを感じさせず、しっかりした指し回しを見せた。

佐藤とは一昨年1月の朝日杯準々決勝で対戦した。当時名人だった相手を下すと、勢いに乗って朝日杯を制し、史上最年少で公式戦初制覇を成し遂げた。再度ステップアップのチャンスをつかんだ。

決勝は4日、同所で行われる。勝てば、史上最年少でのタイトル戦初登場者として、渡辺明棋聖(36)に挑戦する。タイトル戦挑戦に王手をかけるのは、昨年の王将戦以来。この時は、広瀬章人竜王(肩書は当時)に敗れた。今度はカベを突き破りたい。

最年少記録は、屋敷伸之九段(48)が持つ17歳10カ月24日。7月19日に18歳となる藤井にとって記録を更新するには、6月11日までにタイトル戦に登場するのが条件となる。今回は、6月8日に渡辺との5番勝負第1局が予定されているため、クリアとなる。【赤塚辰浩】