将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が4日、東京都渋谷区の将棋会館で指された第91期棋聖戦挑戦者決定戦で永瀬拓矢2冠(27)を破り、最年少タイトル挑戦を決めた。

   ◇   ◇   ◇

さりげなく気づかいができる。昨年7月、関西将棋会館で行われた第78期名人戦順位戦C級1組2回戦だった。「名人」につながる順位戦はそれぞれ持ち時間が6時間あり、昼食、夕食の休憩を挟んで、終局時間は深夜に及ぶのが普通。ところがこの日、相手が午前11時23分に投了したため、藤井が昼食に注文した「他人丼&冷たいうどんのセット」(830円)は出前される前に終局となった。

異例の早期決着。感想戦のとき、報道陣から「昼食は食べられますか?」と尋ねられると、苦笑い。幻の勝負メシの行方は? 「もし、よかったら食べてください」。対局の記録係を担当した奨励会員にそう言い残して、将棋会館を後にしていた。もちろん、お会計は、さりげなく済ませて。「後輩」への気づかいも自然体だな、そう感じた。【松浦隆司】