安倍晋三首相(65)は28日、官邸で会見し、辞任を表明した。持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、国民の負託に応えられなくなるのを避けたかったという。病院を受診した24日に決断。新型コロナウイルス対策もまだ途中。葛藤があったと目を潤ませた。

首相会見での主なやりとりは次の通り

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-いつごろ辞任決意

首相 治療を続けながら考えてきた。これから人事や国会対応もある中、継続的によくなっていく保証はない。空白を出さないようにするには、このタイミングで辞任するしかない。月曜(24日)に検査、診察を受けて判断した

-再び、任期途中での辞任

首相 批判は甘んじて受けないといけないが、新型コロナの対策をとりまとめることもできた。任期ある限り全力を挙げたい

-自民党総裁選は党員投票か、両院議員総会で決めるのか

首相 次の総裁選は執行部に任せている。誰が意中かも私が申し上げることではない

-政権のレガシーは

首相 レガシーは国民の判断すること。歴史が判断していくことだと思う。

-後継への期待

首相 次の方も新型コロナ対策に全力をつくされることだと思う。名前が出ている方はそれぞれ有望で、一緒に働いたことがある方ばかり。政策を競い合う中で決まっていくのを期待している。

-公文書管理について

首相 公文書管理はさらなる徹底をしていく。国会では長時間、私も答弁をさせてもらった。十分かどうかは国民が判断すること

-次の選挙は出るのか

首相 今後、何とか体調を回復する中、1議員として活動を続けたい。次の政権に対して影響力を行使しようとは考えていない

-今日はプロンプター(文字が浮かび上がる機械)を使われていないが

首相 ギリギリまで原稿が決まっていなかったこともあり、私も推敲(すいこう)していたのでこうした形になりました。

-森友学園、加計学園問題、桜を見る会、コロナ対策でも政権に対する批判の厳しさを感じることもあった。共通するのは政権の私物化ではないか

首相 政権の私物化はあってはならないことで、私は政権を私物化したつもりは全くありません。その説明ぶりについては反省すべき点もあるかもしれないし、誤解を受けたのなら反省しないといけない。

-第1次政権と違った身の引き方ができたか

首相 任期途中での辞任に批判があるのは当然。甘んじて受けないといけないが、コロナ対策の実施にめどが立った。悩みに悩んだ。もう少しできないかという葛藤がなかったわけではないが、(第1次政権と)万が一同じような判断をしてはならないという判断だ(目を潤ませる)。