新型コロナウイルスの影響で、旅行や帰省などの自粛が広がる中、自宅で全国各地の特産品が楽しめる通販サービス「アンテナショップオンライン」が人気を集めている。サイトでは現在、9店舗10自治体のアンテナショップから名産品詰め合わせセットなど、計30商品を販売している。

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熊本県の「納豆ふりかけ」、ロッテのドラフト1位・佐々木朗希が「関東に来て、恋しくなった食べもの」と話題になった三陸地方の「酢の素」、淡路島の「食べる玉ねぎラー油」-。アンテナショップオンラインの目玉商品「おうちで旅気分セット」は、6自治体の7つの特産品がセットになっており、家にいながら、各地の名産品が味わえる。

緊急事態宣言発出時、多くの都内アンテナショップが休業を余儀なくされ、店舗で在庫を抱える店が増えていた。一方で「アンテナショップオンライン」を運営する、メディア運営会社「レッツエンジョイ東京」(東京都千代田区)の「アンテナショップ特集(都内アンテナショップの情報サイト)」のアクセス数は、例年の1・5倍~2倍ほど増え、外出自粛が続く中でオンラインでのアンテナショップへの注目は高まっていた。

そこで生まれたのがこの企画だった。同社の武智弘樹さん(39)は「多くの在庫を抱えるアンテナショップと、旅行ができない人の課題を解決するため、5月に試験的にサービスを開始した」と話した。同社によると、購入者からは「家族旅行は中止になったが、旅行気分を味わえた」「なじみが無かった地域だったが、その地域ならではの味で、グッと身近に感じられた。来年の家族旅行の候補地になった」という声が寄せられているという。

群馬県のアンテナショップ「ぐんまちゃん家」の担当者は「緊急事態宣言下で商品を売り切れず、賞味期限が過ぎていく商品の取り扱いに苦慮した」と、当時を振り返ったが、新規の顧客獲得のチャンスにつながった。現在、店舗の営業は再開しているが「(アンテナショップオンラインは)各県の商品を持ち寄った詰め合わせセットの販売をするなど、アンテナショップ単独では難しい企画も実施できる」と、新しい販売方法に期待を寄せた。【佐藤勝亮】