藤井聡太棋聖・王位(18)が21日、大阪市の関西将棋会館で指された第79期名人戦順位戦B級2組で、村山慈明七段(36)を破り、開幕から無傷の5連勝とした。

各10局を戦う順位戦B級2組は今期25人が参加し、上位3人がB級1組へ昇級する。藤井は前半戦を全勝ターンし、単独首位に立った。

深夜にまで及んだ激戦を制した藤井は「力戦模様になり駒があまり前に出にくい将棋なので、どうバランスを取ればいいのか分からなかった」と振り返った。両者の過去の対戦成績は村山の1勝0敗。藤井は村山の横歩取りへ戦型の誘導を受けて立った。終盤まで互角だったが、最後は持ち前の鋭い攻めで投了に追い込んだ。8月に史上最年少で2冠を獲得後、豊島竜王、羽生九段戦に横歩取りで黒星を喫していた。連敗した同じ戦型での勝利は価値があった。

順位戦は最上位のA級からC級2組までの5クラスに分かれて戦い、A級の優勝者が名人挑戦者となる。昇級には9勝1敗、10戦全勝の好成績が必要になる。

谷川浩司九段(58)が持つ名人獲得の史上最年少記録(21歳2カ月)を更新するには、今後の順位戦をすべて1期で昇級する必要がある。全勝ターンに「いい形で前半戦を終えることができた。1局1局、全力を尽くしたい」。最年少名人へ、負けられない戦いが続く。【松浦隆司】