昨年7月の参院選広島選挙区を巡る買収事件で、公選法違反の罪に問われている参院議員の河井案里被告(47)の公判が22日、東京地裁で行われ、共謀したとされる夫で元法相の衆院議員、河井克行被告(57)が検察側の証人として出廷した。克行被告が今回の事件で証人尋問を受けたのは初めて。検察側の尋問が行われ、克行被告はほとんどの証言を拒否した。

案里被告はほぼノーメークで、赤いハイネックのセーターにダークグレーのパンツスーツ、克行被告は紺のスーツに白いシャツを合わせ、ノーネクタイでそれぞれ出廷した。案里被告は克行被告と目を合わせることはなかった。

案里被告は克行被告が検察側からの尋問2問目で「裁判長! 私自身、訴追、起訴された刑事被告人の立場に置かれた状況なので、必要なことは今後の裁判で申し上げていきたい」などと説明した際は、鋭い視線で克行被告をじっと見つめた。それ以外の時間は終始うつろな表情で、伏し目がちか、目をぎゅっとつぶっていた。

克行被告はうつろな案里被告とは対照的だった。ピンと背筋を伸ばし、ハリのある声で質問に答えた。

「必要なことは私自身の裁判でご説明する」。ほとんどの質問に対し、証言を拒否し続けた克行被告のトーンが少しだけ変化したのは公判終盤。検察側の質問に「意味がわからないので、はっきりとおっしゃってください」などと具体的な質問を引き出した上で、証言を拒否することが続いた。検察側が裁判長に「分かった上ではぐらかしている。ちゃんと話すように促してもらえませんか」と指摘する場面もあった。また、検察側から「名簿に手書きで○○と書いてありますよね」と質問された際に、「知らないのによく読めましたね」と突っ込む場面もあった。【近藤由美子】