新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた東京・銀座を盛り上げようと、銀座の店舗や企業が商品を物々交換し、SNSで紹介し合う「ものつなぎプロジェクト」が再始動することになり、3日、発表会が都内で行われた。

再始動のトップを飾るのは銀座生まれの演出家宮本亞門氏(62)。「心から賛同します」とビデオで激励のメッセージを寄せた。不動産業を営む「銀座丸八」の松沢芳邦社長にオリジナルトートバッグを贈った。

プロジェクトは近所の老舗弁当店「辨松(べんまつ)」閉店などで危機感を感じた老舗和菓子店「木挽町よしや」斉藤大地さん(35)が4月、1人で発足させた。8月に100回を迎え、いったん休止していた。斉藤さんは再始動に「銀座のきずなを肌で感じています。次は物より人に焦点を当てたい。コロナが収束しない状況ですが、なるべく直接会って、ご紹介できれば」と意気込んだ。

「よしや」のどら焼きから物々交換を開始。これまで高級果物店「銀座千疋屋」や文具店「鳩居堂」といった老舗から日産自動車やユニクロ、松竹ら大手企業も参加した。斉藤さんが「自転車で回れる範囲で」と始めたものつなぎの輪は、大きく広がっている。

この日、斉藤さんはチャリティーグッズ収益金を銀座の店舗を取りまとめる「全銀座会」に寄付した。受け取った代表幹事の斎藤充氏は「コロナで疲弊した銀座の街のために使いたい。大変励みになります」と感謝した。

一方、斉藤さんの本業の和菓子店もコロナ感染「第3波」の影響を受けている。「感染拡大で9割売り上げが落ち、ようやく7割まで戻ってきましたが、大きなイベントの中止などでキャンセルが相次いでいます」と明かした。苦しい状況が続くが「ダメージはありますが、ものつなぎは人つなぎだと思う。さらに続けていく中で、これまでないかもしれないと思っていたきずなを再認識できています」と前向きに話した。

東京・松屋銀座で、これまで交換した品を展示した同プロジェクト展を6日まで開催している。

また、松屋銀座では、同プロジェクトとコラボした福袋も販売する予定。コロナ禍で結婚式を挙げられなかったカップルを応援するため、90万円の豪華ブライダル福袋を限定2袋用意。内容は130万円以上相当で、婚約指輪や結婚指輪、ウエディングドレスでの記念写真やホテル宿泊、プロジェクトからのエールを込めた商品もセットになっている。26日に発売。