東京・池袋の都道で19年4月に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で在宅起訴された、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(89)の第2回公判が3日、東京地裁で開かれた。この日は、事故を目撃した3人の目撃者が証言台に立ち、走行していた飯塚被告の運転していた乗用車について「ブレーキランプの点灯を見ていない」と証言した。

被害者参加制度を使って裁判に参加した、真菜さんの父上原義教さん(63)は「(証言は)ブレーキを踏んでいないということでした。それでありながら、どうして裁判が続くんだろう、これだけ証言、証明するものがありながら、相手が反論する余地があるのか、と不思議な感覚を覚えた」と首をかしげた。

証言の中に「突っ込むところが見えた」というものもあった。上原さんは、そのことを口にすると涙が止まらなくなった。「娘は痛い思いをしたんだろうな、つらかったんだろうな…何もしてあげられない。父親としては…本当に残念で」と涙をこぼした。

その上で「飯塚の方を、私もずっと見ていたが(裁判中)ずっと下を見ていた。それだけ自分が正しいと思っているんだったら、正々堂々と顔を上げて、こちらの方を見て欲しかった。本当に悔しい思いでいっぱい…それだけです」と涙声で怒りを吐露した。