2020年の世相を1字で表す「今年の漢字」が「密」に決まり、日本漢字能力検定協会が14日、京都市東山区の清水寺で発表した。応募総数20万8025票を集計し、「密」は2万8401票を獲得。トップ10には「禍」や「病」など新型コロナウイルスに関連する1字が並んだ。感染免疫学が専門の白鴎大教授、岡田晴恵さんは今年の漢字に「禍」を選んだが、来年は「福」にしたいと2文字をセットで選んだ。日刊スポーツでは恒例の各界著名人の今年の1字を紹介します。

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「コロナ禍」と言いますね。「禍」は「わざわい」という意味です。今年の「わざわい」は、病気に限っただけではありません。大学もリモートになり、学生たちにも会えないし、とてもつらい、厳しい思いをしています、飲食店、製造業、映画、音楽などの興行、アパレルなどあらゆる業界、職種の人々が日本全体で大変な苦難に直面しています。コロナはまさに「わざわい」です。

日本は、欧米に比べたら犠牲者も少なくて、健康被害は海外より少ないと言えるかもしれない。でも、流行が大きくなると想定される“乾燥と低温”の冬を何とか被害を最小限度にして乗りきっていきたいです。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、政府に対し、さまざまな提言をしています。政府は経済のことも考えて、大所高所から政策を打つのでしょうが、とにかく「わざわい」を最小限にする対策を打ち出してほしいです。

「禍」をできるだけ小さくして、2021年の漢字は「福」にしたい。禍を転じて福となす、そんな思いも込めて、私は2文字選びました。(聞き手=秋山惣一郎)