新型コロナウイルス感染拡大の影響で、正月恒例の初詣は密を避けるため多くの神社・仏閣が「分散参拝」を呼び掛けるなど、新様式へと変貌している。

「学問の神様」として知られる菅原道真を祭る東京・湯島天満宮では、境内に「幸先詣」ののぼりが立つ。年内に前倒しし参拝客の分散を図る試みだ。神職は「お札やお守りを年明け前に受け取って、新たな気持ちで新年を迎えて欲しい」と語った。12月の参拝客の数は例年と比べて約1割~2割増加したという。

孫の大学合格を祈願しに訪れていた女性(70代)は「毎年元日に来ていたが今年は行かない。(年内に訪れても)神様は見てくれていますよ」と笑顔で話す。千葉の進学塾に勤める男性(60代)は受験生に贈る「合格祈願鉛筆」を500本購入した。男性は「受験の前に前もって買いに来ました。今年の受験生は特に苦労したと思う。頑張ってもらいたい」と声援を送る。

例年、300万人以上の参拝客が訪れる東京・明治神宮は、大みそかは午後4時に閉門し、元旦にかけての終夜開門を中止する。お守りやお札の授与所は本殿から離れた場所に特設し、飲食を伴う店舗の出店も取りやめた。東京・浅草寺は、三が日は浅草署と連携して、参道に入場規制区域を設ける。例年以上の待ち時間が予想されるため、分散参拝を呼び掛けるほか、お札のオンライン申し込みも受け付けている。

21年の初詣は、一段と良い年を願う気持ちが募るが、感染対策を徹底することが鍵となる。【沢田直人】