53万5245人が出願した、初の「大学入学共通テスト」初日。会場周辺は例年とは様変わりしていた。例年、予備校や塾の関係者、保護者などが激励のために集まる光景が恒例だが、この日は見られなかった。

千葉市内の進学塾では、約260人の受験生を送り出した。塾の関係者は取材に「(塾で待機しているため)会場の状況は分からない。生徒を信じて待つだけです」と、語った。毎年、試験前日に行っていた激励会も中止したという。

試験場の1つ、東大の本郷キャンパス(東京・文京区)周辺で話を聞くと、例年は、会場の入り口付近に進学塾ののぼりが立つといい、人が「密集」する状態となる。この日、保護者の送迎は一部見られたが、密にはならず、受験生も間隔を保ちながら入場した。

激励自粛の影響は会場近辺にも及んだ。あるコンビニエンスストアによると、試験当日は例年おにぎりが350個ほど売れるが、受験生以外の人出がほぼなかったためか、今年は半分ほどの売り上げという。昨年は試験前日、おにぎりの「取り置き」を依頼する電話もあったが、今年はそれもなかったという。

一方、学問の神様・菅原道真をまつる湯島天満宮(同区)では、例年ほどの人出はないものの、多くの受験生らでにぎわっていた。合格への願いを込めた絵馬の中には、福岡や大阪の住所が記されたものもみられた。【沢田直人】