菅義偉首相は5日夜、官邸で会見し、首都圏1都3県で7日に解除期限を迎える緊急事態宣言について、21日まで2週間再延長すると発表した。「7日までに解除できず、心よりおわびしたい」と謝罪した。

10都府県の緊急事態宣言延長を発表した2月2日以来、31日ぶりの会見。首相は「1都3県については当初、目指していた基準を満たしている」と成果を強調する一方で「感染者は減少傾向だが、そのスピードは鈍化している。人出が増えている地域もあり、リバウンドの懸念も高まっている」と解説し、「2週間は感染拡大を押さえ込み、状況を慎重に見極めるために必要な期間だ」と訴えた。

だが、2週間後の状況は不透明だ。国民に自粛要請を懇願する姿勢に変化はなく、現状を打開する決定打は見当たらない。これまで解除の目安として数値目標を掲げてきたが、「最後は私が判断します」という政治決断にすり替えられた印象も否めない。

解除期限の4日後の25日には聖火リレーのスタートを控える。前回同様に1カ月の延長では聖火リレーを直撃し、開催への盛り上げムードに水を差す。2週間では不十分との指摘も出る中で、2週間にこだわったのは、聖火リレーの日程が迫ることが影響したと受け取られても仕方ない。

再延長は、首都圏の感染改善が見通せないことも大きい。首相は春休みを前に、大人数の会食は控えるよう要請したが、1都3県の緊急事態宣言は過去最長の約2カ月半。「自粛疲れ」で、実効性にも限界が見える。そんな中での再延長。成果は、後手後手の対応を批判されてきた首相の政権運営を左右しかねない。今までにない、緊張と重圧の2週間だ。【大上悟】