新型コロナウイルスの感染急拡大が続く、現状について政府と専門家の認識のずれが鮮明となった。西村康稔経済再生相は14日の衆院内閣委員会で野党から、感染拡大の第4波について「波状口撃」で問われたが「政府として何が第1波、何が第2波というような、必ずしも定義づけているわけではない」などと、回答を避け続けた。

だが、西村氏の直前に同じ内容の質疑を受けた新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は「今の状況は第4波と言って差し支えない」と明言し、同じ委員会室で答弁した西村、尾身両氏の認識は食い違った。この日の会見で日本医師会の中川俊男会長も「波という意味では第4波だと思う。だんだんと高い波になってきた」と警戒感をあらわにした。前日13日に緊急会見を行った東京都医師会の尾崎治夫会長も感染拡大の「第4波に入っている」と断言するなど、専門家の意見は一致している。

ところが、政府の認識は専門家と一致しない。菅義偉首相は、この日の参院本会議で「現時点で全国的な、大きなうねりとまではなっていない」と、これまで通り、第4波の到来を否定した。6日の国会答弁で「必ず波は起こる。ゼロにはできない。何度でも起こる。次の波が来ている」と、第4波との認識を示した西村氏だが、この日は一転して「総理にも毎日のように報告している。認識はまったく一致している」と手のひらを返した。

まん延防止等重点措置が適用される中、大阪府や兵庫県などで急速な感染拡大が止まらない。政府中枢と専門家の現状認識がずれたままでは、緊急事態宣言の再々発令などのタイミングも、ずれてしまう懸念はぬぐえない。【大上悟】