丸川珠代五輪相(50)が27日、閣議後の会見で、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの医療提供体制をめぐり、東京都に苦言を呈した。

前回の五輪相時代も含め、東京都の小池百合子知事(68)とは因縁の仲。小池氏は「実務的には(話を)詰めております」とかわしたものの、2人の対立構図が再燃したかに見える形となった。

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丸川氏は東京五輪・パラリンピックの医療提供体制をめぐり、東京都の対応の遅さを強い口調で批判した。「東京都の考えがまったく聞こえてこない。非常に懸念している」。医療体制について、政府としてどのようなサポートをしていくか聞かれると「都が厳しいコロナの状況の中で大会を開催するためにどのように取り組んでいくのか、具体的なことを私たちにまだお示しいただいていない」と不満をにじませた。

担当者を通じて都に対し、2週間前に医療提供体制の確認を求めていたという。「都は大会の主催者としての責任、一方では医療の現場を預かる者としての責任がある」と指摘。「両方の責任をどのように果たすのか、明確な発信なり、方向性なりを示していただかないと。どうご支援すべきか、非常に戸惑っている」と、いら立ちと困惑をのぞかせた。さらに「東京で感染をしっかり抑えていただくことが、全国からお客様においでいただくことの大切な条件」と、都のコロナ対策の重要性を強調した。

一方で組織委員会が大会期間中に看護師500人の確保を日本看護協会に依頼したことについては「約1カ月前に要請したと組織委から伺っている」と説明。組織委とは情報共有していることを示唆した。

丸川氏は16年都知事選で小池氏とは別の自民党候補を応援。前回の五輪相時代も競技会場の費用分担が難航したことなどから、2人の関係はぎくしゃくし、因縁の仲とみられている。

大会開幕まで100日を切った中、五輪相が表立って開催都市に苦言を呈する一枚岩ではない状況は、開催への逆風をさらに強める可能性もある。【近藤由美子】